父の料理 -Part1-

二ヶ月近くも家の中に閉じこもっていると、いろいろと飽きてくる。

映画もYouTubeも読書も、気が向いたときにやるから楽しいので、毎日数時間となるとさすがに飽きる。

今日は何をやろうかと朝から悩んで、ふと思い付いて、ピアノの下に積んである書類の束の中からA4サイズの古い茶封筒を6つ、ひっぱり出した。

 

父が残した料理レシピだ。

 

封筒の底と両わきがガムテープで補強してあって、長い年月の流れでガムテープは焦げ茶色に変色している。

それぞれ題字に大きくサインペンで、『豚肉』『とり肉』『牛肉』『野菜』『魚』『その他資料』と書かれ、父の手書きのレシピがぎっしり詰め込まれている。

 

父が定年退職した時、母がこう言ったそうだ。

「これから暇になるんだから、パパ、家事やれば?」

 

母の家事は、娘から見てかなりな手抜きだったと思うが、それでもやはり、何十年もやれば退役したいと思うのはもっともだ。

七年前に父が倒れ、それから約一年半の間、病院にいる父と家の母の介護をしながらなんとか家事をこなした。

慣れてないせいもあったろうが、主婦業というのはとんでもなく大変な仕事だと思った。

ちゃんとやろうと思えば、次から次へと仕事が湧いてくる。際限が無い上に、達成感もあまりない。

( ”庭の草取り”は過酷だったが、唯一、達成感は半端なかった、、。 )

主婦業は向き不向きのある職業だと思うが、間違いなく、母も私も向いていなかった。

 

母に家事移譲を言い渡された父は、

「おう、いいよ!」と快諾した。( これはその場にいなかった私の想像 ^ ^ )

 

かくして、父のレシピが誕生する。

***Part2に続く***

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コメント: 5
  • #1

    ぅぉ (火曜日, 19 5月 2020 21:07)

    家事はたいへんですなぁ
    わてくしは、ニワカだし、すぐ挫けるので
    本当の大変を知っている訳ではないのですが

  • #2

    michiko (水曜日, 20 5月 2020 10:16)

    ほんとに、、。
    お母さんは偉大です ^ ^

  • #3

    本間俊一 (金曜日, 22 5月 2020 18:32)

    お父さんのレシピ、とても楽しみです。

    以前、ブログで紹介されたポテトサラダは、とても参考になりました。とても及びませんが、ヴィネガーとヨーグルトを加えるとのレシピを教えていただき、お父さんのポテトサラダに挑戦してみました。

  • #4

    michiko (土曜日, 23 5月 2020)

    本間さんも、きっと料理がお好きなんですね ^ ^
    父は、美味しいものが食べたい!という食道楽が根底にはあったとは思うのですが、家族に美味しいものを食べさせたいというサービス精神の方が大きかったと思うのです。
    父の事を思い出すと、懐かしくて寂しくて、ちょっと辛くなります。

  • #5

    本間俊一 (土曜日, 23 5月 2020 21:18)

    家族の皆さんからの笑顔が楽しみで、お父さんは腕を奮って頑張ったのかもしれません。
    お父さんレシピの公開が待たれます。

    山でのキャンプなど調理は必要不可欠の技術ですので、最近はだし巻きのふわふわ卵焼きを、如何に美味しくつくれるか、試行錯誤しています。

    料理は、材料仕入れから盛りつけ、時間経過した味わい深い変化など、まさに段取りの想像力とマネジメントの世界と思います。