日本語は素敵だと思う

先日、銀行である手続きをしていて、渡されたパンフレットに”目論見書(もくろみしょ)”とあった。

金融関係では普通に使う言葉らしいのだが、”もくろみ”と聞いて、時代劇ファンとしては何となく『エチゴヤ的な悪巧み』を連想してモヤモヤした。

目の前の若い行員さんの晴れやかな笑顔をチラッと上目で見て、安心したのだが、、。

昨年、実家を手放した時に役所で、”名寄帳(なよせちょう)”なるものを申請した。 

不動産取引きでは重要な書類だそうだ。

これまた、江戸時代のお百姓さんたちが庄屋さまのお家に集まって「タロウ」とか「ハチ」とか自分の名前を書いて、、みたいなシーンをぼっと想像した。

どうも時代劇の影響が強過ぎる、、。

 

親の遺産相続の手続きで、”はら戸籍”というものを初めて見た。

家族の健康診断の履歴かと思ったら、個人の出生から全てを記した戸籍”で、はら”は”原”と書くとの事。

日本の土台の組織=金融業界やお役所では、日本語の古い名称がそのままに使われていると知って、改めて驚いた。

 

そういえば、陸上自衛隊の10式戦車は”ひとまるしきせんしゃ”と呼ばれる。

自衛隊の隊員は、午前10時をヒトマルマルマル、午後10時なら22時なのでフタフタマルマルと言うのだそうだ。

軍事で誤りを生まないように、という事なのだろうが、何となくカッコいいと思う私は危険な奴なんだろうか(笑)?

(Wikipediaより)


政治家や会社経営者がやたらと英語を使い、メディアも活字を使って普及させようとするものだから、コンセンサスとかインセンティブとかモチベーションとか、日本語で言えばいいのに、と思う時が多々ある。

「意識高い系」が氾濫しているような気がして、どうにも気持ちが悪い。

 

先日、ネットで知ってびっくりしたのだが、オックスフォード英語辞典に"hikikomori(引きこもり)“ という日本語が収録されている。

引きこもりは日本だけの現象でなく、先進諸国で社会問題になっているのだが、訳されずに日本語で表記・使用されているようだ。

食べ物や文化的なものは、翻訳するよりそのまま日本語を使うのが自然だが、"hikikomori”や”gaijin(外人)”、”kawaii(可愛い)”、”kaizen(改善)”とか、なんで~?と思ってしまう。

 

欧米で日本語が使われ、日本では日本語の英語化が進む言語のグローバル化が徐々に進行しているんだろうか?

もう既に定着した和製英語は日本語であるとしても、これからどんどんそうしたよく分からないカタカナ英語が増えていくって、ちょっとどうなんだろう?

 

明治の知識人たちは、西欧の概念を一生懸命、日本語で表記しようとして、自由・経済・哲学・芸術などの優れた訳語を創り出した。

あの時の100万分の一の気概も、今の知識人たちにはないんだろうな。

日本人である事よりグローバルな人材がもてはやされる時代だし、速度を求めれば仕方ないのかもしれない。

 

時代劇ファンとしては、そのうち鬼平も眠狂四郎も忠臣蔵も知らない世代が出現する未来を想像して、がっくり暗澹たる気分に陥る、、。

時代劇は、たとえ台詞が数語であっても物凄く説得力を持つ場面や瞬間がある。言葉の力だ。

江戸っ子のべらんめぇ口調や侍の武士語は、ずっと残していってほしいと思う。

 

あ、そうだ、落語がある!

古典落語、久しぶりに聴きたくなったなぁ、、。

 

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コメント: 8
  • #1

    ぅぉ (日曜日, 16 2月 2020 01:53)

    日本語がそのまま使われるのは、色々 理由があると思う。
    改善は日本発で、ワンセンテンス? 一つの単語で言い表せるから
     かわいい は プリティやキュート と微妙に違う意味合いというか
    ニュアンスが違ったりする言葉だったりするからではないかと

  • #2

    ぅぉ (日曜日, 16 2月 2020 02:19)

    おっと 寝落ちしそうになって、一旦送信してしまった。w

    ひとまる、ふたまる、ふたふた等の軍隊用語はアニメや特撮(とはいえ軍隊もの)で
    よく使われるので、それをかっこ良く思う人は結構いると思いますよ。

    時代劇上の言葉で言うと、最近私の好きなマンガ家さんが北条早雲のマンガの
    連載を初めましたが、このマンガ時々、カタカナ言葉を放り込んでくるw
    時代考証的にはとんでもないことではあるけれど、私は、ほう!と関心してしまった。
    何なんでしょうね。

    落語だけじゃありませんよ、最近は講談 なんかも人気が出てきたのか
    神田松之丞さんなんて方がメディアに露出してきてますね。

  • #3

    ぅぉ (日曜日, 16 2月 2020 02:22)

    おっと失礼、神田松之丞さん 今年、神田伯山という名を襲名されたそうな。

  • #4

    michiko (日曜日, 16 2月 2020)

    神田伯山さん。最近、セッションのお客さんが話していて、へぇ、そんなに上手い若手がいるのね...と思った記憶があります。
    今度、聞いてみます!

    ”かわいい は プリティやキュート と微妙に違う意味合いというか
    ニュアンスが違ったりする” -- そうなんです、なんか違う国の人に、日本人独特の精神性を理解されちゃってるみたいな、妙な感じなんですよね、、。

  • #5

    ぅぉ (火曜日, 18 2月 2020 23:32)

    それがし、伝統芸能などは不案内でござるが、歌舞伎などは如何でござろう。
    最近は、ワンピースやナウシカ、スターウォーズまで演ってるそうでござる。

  • #6

    michiko (水曜日, 19 2月 2020 08:25)

    歌舞伎でそんな演目!
    なんかちょっと如何なものか....でござる、、。

  • #7

    ぅぉ (水曜日, 19 2月 2020 23:53)

    って事は、やっぱり落語ですかねぃ。  とはいえ、上の歌舞伎の演目も
    落語で言う創作落語のようなもので、いつまでも古典ばかりやり続けても
    いけないってんで、始めたものなんじゃないかと、あっしは思うんですよね。

    立川志の輔師匠のやってるラジオ番組で、女の子をゲストに迎え一緒に落語を
    聴くって番組があるんですが、いろんな師匠方の落語を聴いてると
    何言ってるか分からない話もある  単語だけぢゃなく口調や速度ってのも
    理解するのに必要なものもあるのかと。

    あとはその時代の常識と今の常識が違うと意味がわからない場合もある
    忠臣蔵なんかがそうであるように

    今風は入れてかないと、聴く人に伝わっていかないのかなあと

    何かキャラブレブレだなぁww

  • #8

    michiko (木曜日, 20 2月 2020 08:51)

    この話は深いですねぇ。
    Jazzについても同じ面があると思います。
    ここではちょっと長くなっちゃうんで、またいつか、、。