亀卜

天皇陛下ご即位に伴う一連の儀式の中で、『斎田定点の儀』が13日午前、皇居宮中三殿の神殿前で行われた、というネット記事を見た。

『斎田定点の儀』とは、11月に行われる一世に一度の重要な祭祀・大嘗祭で、神々に供える米をどの地方で育てるかを決める儀式だそうで、記事には掌典職員という人たちの写真が載っていた。

                                                (産経新聞より)

51日のご即位以降、両陛下の伝統的な装束姿をニュースやYouTubeなどで度々見ていて、なんて美しいんだ!と感激して何度も見直していたから、職員の方々の古式ゆかしい祭服姿に今さら驚くというのではないが、それにしても、まるで宮中全体がタイムスリップして過去の異世界に入り込んだかのような趣である。

 

宮中一連の儀式は厳粛で秩序だっており、かつ日本古来の艶やか(あでやか)な色彩がある。

殊更に格式を重んじるというのでなく、必要な手続きを粛々と行う、飽くまで神々と天皇家との間の事であるという印象だ。

こうした儀式の様子を私たちが目にすることができるのは、200年ぶりのご譲位という祝福された雰囲気があるからで、インターネットの普及も一役買っているだろう。

でも全ては、国の伝統を守っていこうとする人たちの途轍もない熱意と努力と献身の結果なのだと思う。

特に戦後は、政教分離の原則があって様々な制約があると聞く。

苦労を厭わない人たちによって、文化が守られる。

日本は特別な国である。本当にそう実感する。

 

考えてみれば、自分が参列した神前結婚式や、隣の空き地にマンションが建つ時に見た地鎮祭など、まさに神道は古事記の世界だなぁ、、と思う訳で、その神道の最高位にいらっしゃる天皇が一世に一度、執りおこなわれる儀式が、現代社会と隔絶したものになるのは当然のことだ。

でもさすがに、斎田を決定する際に”亀卜”を用いたというニュースを読んだ時は、心底びっくりした。

 

亀卜:カメの甲羅を使う占いの一種。カメの甲羅に熱を加えて、生じたヒビの形状を観て占う。(Wikipediaより)

 

起源は古代中国で、殷の時代に盛んに行われ、日本には奈良時代に伝来したのだそうだ。

「宮内庁は約一年半前から、希少なアオウミガメの甲羅の確保に奔走し、甲羅の加工職人の選定にも慎重を期した。」(産経新聞より)

 

 

 

「斎田点定の儀」で使用されるカメの甲羅(宮内庁提供)


奈良時代から続く古代の文化が、宮中ではそのままの形で残っている。

私たちが知らないだけで、他にもきっといろいろあるはずだ。

う~む、知りたいなぁ、、。見てみたいなぁ、、。

昔の貴い人たちは、何を信じ、何を守ろうとしたんだろう?

 

まさに皇室は、日本人のルーツのような気がしてきた。

『古事記』、もう一度読んでみるかな、、。