ポワロ -Part11-

このポワロ・シリーズ。去年10月から始めてPart11まで来てしまった。

ここら辺でひと区切りつけないとまだまだ続きそうなので、あと2つの事だけ書いて終わりにしようと心に決めて、つらつら以前の記事を眺めていた。

すると、数年前にそのうちの1つを既に書いていたのを発見して、ふ~んと読み返してみた。

2015年7月6日『相棒』https://mmikko6566.jimdo.com/2015/07/06/相棒/

 

この中で、ポワロとヘイスティングス大尉の相棒関係について触れているのだが、記事下のコメント欄で、我ながら面白いことを言っていたので抄出します。

 

「(略)、ポワロもホームズも物凄く奇人変人なわけですが(笑)、私はヘイスティング大尉とワトソンがとても興味深いです。

この二人が、天才だけれど奇人変人な相手と穏やかな友情を育み、敬意を得ることは無いけれども確かな信頼を得ていく過程が面白いです。
能力の差と人間の価値とは無関係である、という大前提があっての事だと思います。
この事は、頭で分かっていても実生活でそう思う事はなかなか難しくて、私なんか本当に駄目で嫌になります。
そういう意味で、ヘイスティング大尉やワトソンという人は私にとって学ぶ事が多いです。それは小説で読んだ時ではなく、ドラマで見た時にとても感じました。そしてとても男性的だと感じました。
アガサ・クリスティは女性ですから、もしかしてコナン・ドイルのホームズとワトソンを参考にしたのかもしれないですね。テレビドラマの脚本家もきっと優秀だったのだと思います。」

 

最後にどうしても書いておきたいのは、ドラマ『名探偵ポワロ』のデビッド・スーシェが、これ以上ないくらい素晴らしかった事。

 

『アガサ・クリスティーが見ていれば、最も気に入った”ポワロ”になっていただろう』

(『名探偵ポワロ』番組ガイド&写真集/求龍堂より )

ポワロ・ファンならほぼ100%、激しく同意!な評価だ。

 

 


どのエピソードか忘れたが、推理が頭の中で綺麗にまとまった瞬間、彼の瞳の奥がキラキラっと輝いた。

みんな気付いたかなぁ? まるでエメラルドが光を反射したみたいだった。

Wow !!

『リング』の最恐場面で貞子が這い出して来た時も同じように叫んだけれど(笑)、それくらい衝撃的だった。

「本物のポワロだ~!」心の中でガッツポーズした。

 

卵型の頭、小男、りっぱな口髭、隙のない服装、もったいぶった動作ー外見も完璧だったが、尊大さとお茶目、才気と人間臭さ、自信と孤独、立体的な一人の人物を創り上げる名優の力量をまざまざと見た気がした。

ファンが思い描いていた”ポワロ”、いや、それ以上に魅力的なエルキュール・ポワロがそこにいて、あの独特な歩き方でちょこちょこ動き回るのを眺めていると、それだけで幸せな気持ちになってしまう、元気になってしまう、、。

 

私たちポワロ・ファンに素敵な夢を見せてくれたデビッド・スーシェ氏に、百万回千万回、感謝の気持ちを送ります。

本当に本当にありがとう!最高の”ポワロ”でした!

 

-本ブログのポワロ・シリーズ、ひとまず(笑)完了です。-

高校生の時のあの”無念のスピーチ”、補って余りある幸福な4ヶ月でした。

また通常運転ー音楽と国際政治、明治~昭和の文学の毎日に戻ります ^ ^

 

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コメント: 4
  • #1

    本間俊一 (金曜日, 22 2月 2019 22:43)

    4か月にわたるクリスティ文学の精華、探偵ポワロのエッセイをありがとうございます。

    エッセイのパワーに触発され、あらためて、作品第一作を読み、デビット・スーシェのポワロもDVDを借りてみました。

    緑色にかわる虹彩や一堂に会した謎解きなど、まさにおっしゃることが理解できます

    でも、一点だけ触れられていないクリスティ
    文学の特徴があるように思われました。
    登場人物をつなぐ恋愛感情と愛憎が、事件の動機の基軸となり、推理の糸口となっております。多分、作品のハイライトかもしれません。

    自分自身が若い頃は気づきませんでしたが、今回読み返して、謎解きだけでない、人々の感情の錯綜をあぶり出すことが深い味わいを生み出しているような気がしています。

    michikoさんのエッセイ、これからもご期待
    申し上げております。ありがとうございました。

  • #2

    ぅぉ (土曜日, 23 2月 2019 06:28)

    頭の中に浮かんだ事を言語化するのが上手く行かず
    遅いレスで申し訳ありませんが。

     私はポワロさんも、ホームズさんも原作は読んでおりませんが、
    田崎さんの記事を読み思う様になったことは、
    その変人ぷり、また行動、所作等は、現在では既にテンプレート
    化され、他のミステリー作品に流用され、生き続けているのだろうなーと。
     『お察しします』でお馴染みのあの警部補も、『実におもしろい』で
    お馴染みのあの先生も、『細かい所が気になるのが僕の悪い癖』で
    お馴染みの警部殿も、みなさんそうなんだろうなー。

     どんな天才だろうと、いゃ秀才であろうと、他の人と比較し
    飛び抜けた才能を有していて、かつ嫌味なく多くの人に好かれる条件。

     例えばアイドルに関し、ラッパーのRHYMESTER、宇多丸さんの本「マブ論」
    にて小西康陽さん(ピチカート・ファイヴ)との対談の中で、アイドルの魅力
    は、「完成度の中にあるほつれ」とおっしゃっています。可愛らしいのに
    画期的に歌が下手とか。

     昨今、お見かけする能の科学者? 厳密には 認知神経科学者の
    中野信子さんの子供の頃のエピソードで、テストであまり良い点を取れない
    人に対し、『授業で喋ってる事ばかりなのに、なぜ、それを書かないのか?』
    と素で仰ったらしい。ご本人は、小さい頃から、いろんな事象を写真を
    撮るように記憶できる、なのでむしろ書けないのが不思議だったそうなの
    ですが、周りはドン引き。 近づけないキャラクターになってしまったそうな。

     近場にいる人にはとても迷惑な事でも、読者、視聴者として迷惑を被らない
    位置から傍観している人からしてみれば、人間臭さとして魅力を感じてしまう。
     そういう事なんだろうなー。

     先日見たミスシャーロックの竹内結子さんも、変人で実に魅力的でした。
    謎解きの為、頭の中で考えてる事を口に出してしまう、思考がだだ漏れな時
    がある面白いひとですが、思考中、物質のCAS番号をソラで言ってる所
    見て、ビビりましたよ。w

     ちなみに、先日ライブ会場でお話しました、竹内結子さんの刑事ドラマ
    「ストロベリーナイト」でした。 誉田哲也さんの「姫川玲子シリーズ」が原作
    のドラマで、面白かったですよ。 結構古い作品ですが。

  • #3

    michiko (土曜日, 23 2月 2019 10:29)

    本間さん、いつも応援してくれてありがとうございます!

    実を言うと、クリスティー作品で唯一、苦手なところが”恋愛”です(笑)。
    人生でとても大切な要素なのは本当にそう思うんですが、恋愛小説、恋愛映画、、だいたい見ません。(『ピアノレッスン』は、ちょっと良いと思いました。)
    本間さんのご指摘どおり、無意識にスルーしたかもしれないですね。
    クリスティー・ファンはロマンティックな要素に魅かれる方が多いのに、私は多分、あんまり興味がないんだと思います、、。

    この4ヶ月、かなりどっぷり、いろいろな事を考えて楽しかったです。
    時間を経て、またもし新しい視点を発見したら、続編(笑)を書きたいです!

  • #4

    michiko (土曜日, 23 2月 2019 10:42)

    ぅぉさん、「完成度の中にあるほつれ」=”隙”ってことかな。
    ほんと激しく同意!です。
    人気者は、みんなそうですね。
    読者、視聴者は完成品を見たいんじゃない、鴎外もホームズもポワロもお茶目で人間臭いから、私は好きなんだなぁと改めて思いました。

    「ストロベリーナイト」も気になってたドラマです。なんかぅぉさんと守備範囲がかぶってますねぇ、、(笑)。