池袋駅で。

ほんの数年間だが、地下鉄有楽町線/氷川台駅の近くに住んだことがある。

JR線と有楽町線の乗り換えが池袋駅なので、買い物も西武・東武デパート、東急ハンズでしていた。

東口に西武、西口に東武ってのが面白かったし、東急ハンズはちょっと駅から歩くけれど、渋谷まで行かなくてすむので便利だった。

 


池袋駅は、新宿駅や渋谷駅みたいに大きくて、いろんな人がむちゃくちゃいっぱいいて、活気があるけどどこか妖しげな雰囲気が漂い、超能力者に言わせると「近寄ると危ない場所」であり、当時は若かった私(笑)にとって、少なからず警戒心を持たせる場所だった。

超能力者云々の話はまた別で書くとして、警戒心というのは、第六感・女の直感とでもいうのだろうか、油断していると何かトラブルに巻き込まれるかもしれない、それに備える危険アンテナが自動的に作動し始めるという感じだ。

 

深夜、山手線の車内には酔っ払った人たちがたくさんいる。

池袋駅のホームで、そういう人たちが電車から降りて喧嘩を始めるのを何回か見た。

最初に見た時は、一方的にボコボコに殴られている人を周りが助けようとした結果、どういう訳か大乱闘になっていた。

日頃のストレスが溜まっているのか、スーツを着た大人たちが殴り合いの喧嘩をする姿には鬼気迫るものがあった。

 

終電を逃すと、氷川台までタクシーで帰ることになる。

雨がしとしと降る肌寒い深夜、駅前のタクシー乗り場で並んでいたら、乗用車がスーッと私の前に止まった。

運転席の窓が開いて、人の良さそうなおじさんが親しげに、「どこまで行くの?寒いから乗りなさい。送ってあげるから。」と言う。

優しそうな笑顔が、今思い出してもぞっとする。

人を疑うことを知らない若い女性たちを騙そうとする悪人の顔だった。

うかうかと乗ってしまったらどうなっていたんだろう。

 

駅構内には、飲食店や雑貨屋さん、さまざまなお店がある。

歩いていたら、ある衣料品店の前に大きなキャリーバッグがぽんと置いてあった。バッグの中から荷物がはみ出ているので、それが商品でないのは一目瞭然だ。

でも、持ち主はそばにいないので、とりあえずそこに置いたのだろう。

これだけ人の往来が激しい場所にとりあえず置いたというのがそもそも謎で、私は他人事ながら心配になった。だって、誰でも持っていける状況だったから。

そして、こんな大胆なことをやってのける人ってどんな人だろうと興味がわいたので、その衣料品店に入ってみた( 暇過ぎ....だよねw )。

店内は思ったより広いスペースだったが、商品が効率よくたくさん置かれているので、お客さんたちは互いに気遣いしながらすれ違っていて、とても店頭におかれたキャリーバッグなど見ることはできない。

商品をプラプラ見ているうちに、そうだ、欲しいジーンズがあったんだと思い出して、すっかり買い物に夢中になってしまった、、。

お店から出た時に偶然、例のキャリーバッグを持って歩いて行く女性の後ろ姿を見た。若いごく普通の人だった。

私がお店に入って、20分後くらいだと思う。

日本がとてつもなく安全な国なのか、日本人が他人を無条件に信じる無垢の国民なのか。

私は、なんだかそら恐ろしい感じがした。

 

今でも時々思い出す、不思議な出来事がある。

 

有楽町線/池袋駅・地下のホーム。

周りにはほとんど人がいなくて、私は一人、何も考えずに電車を待っていた。

何も考えずというよりは、その当時、あまりに辛い日々が続いていてほとんど何も考えられない状態だった。

もう死んじゃいたいなぁ、、なんてふっと思った。それほど苦しくて心がぼろぼろだった。

その時、いきなり胸の下の方からどうっと何かが突き上げてきて、思わず顎を上げた。息もできないくらいの勢いでそれは胸の中、喉から頭へと突き抜けていった。

何秒間か、口をパクパクして上を向いたまま、身動き出来なかった。

体の奥から頭の先まで、何かに満たされていっぱいになったような感覚だった。

何が起きたのかまったく分からなかったし、あまりに突然だった。

敢えて言葉で表現するなら、それは”幸福感”ーそれまでに経験したことのない、自分で制御できないすごい力で湧き上がってきて勢い余ってあふれ出したような”幸福感”だった。

 

普通、幸福感というのはじわじわ感じるものだと思うのだが、あれはまさに幸福爆弾がスローモーションで炸裂したようだった。宝くじが数十億円当たったとかの次元じゃない、、。

人生最悪の苦境のさなかに、何故あんなことが起きたんだろうか?

 

池袋は、人の理性を狂わせ、摩訶不思議な超常現象が起こる街なのかもしれない。

土地が持つ力みたいなものがあるとするなら、まさにそんな神秘なエネルギーを持つ場所だ。

 


そういえば、江戸時代の怪談に『池袋の女』というのがある。

武家屋敷などで、池袋出身の女中を雇うといろいろな怪現象が起こる、という俗信だ。

江戸時代の文献に、いくつか怪異の実例が書かれているそうだ。

 

オカルト・ホラー好きの私にとって、池袋はちょっと怖い街、大げさに言うなら畏怖の念を抱かせる場所である。

 

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コメント: 10
  • #1

    ぅぉ (月曜日, 30 4月 2018 19:09)

    池袋で、オカルトって言うと、デュラララ!!と言うライトノベルを思い出す。
    首なしライダーのセルティ(実はデュラハン)が主人公で(主人公らしくない)
    池袋の若者のスッタモンダを書いたお話。 そのデュラハンがでたり妖刀とかも
    出てくるけれど、ホラーではなく怖くない。結構面白かった。
    いゃ、ライトノベルでなく、アニメ化されててそのアニメの方ww

     しかし地下鉄ホームのいきなりの幸福感・・・興味あります
    再現性はあるのですか?

  • #2

    michiko (火曜日, 01 5月 2018 19:44)

    アニメで池袋ってのがあったんですね。新宿や渋谷じゃない、どっちにもない微妙な感じが池袋にはありますよね。

    例の幸福感は、あれ一度っきりでした。
    記事を書きながら、本当に不思議な体験だったなぁ、と改めて思いました。
    私の守護霊が、こら、死ぬなんて考えんじゃないよって救ってくれたのかもしれません。これは、今はじめて思ったことですが。

  • #3

    町田 (日曜日, 06 5月 2018 10:12)

    不思議な話ですね。
    子供の頃、突然軽い幸福感につつまれる事が何度かありましたが、それ程は強烈のものではありませんでした。
    幸福ホルモンとか、ヨガのクンダリニーとか、その様な現象を説明するものがありますが、一体何だったんでしょうね。

  • #4

    michiko (木曜日, 10 5月 2018 07:13)

    町田さん、その様な現象を説明するものがあるんですね。
    その話、聞いてみたいです!
    ずっと、体内の未知のメカニズムかなぁ...なんて思っていたんですが、記事を書き終わってぼっと考えたら、あれってもしかして霊体験だったんじゃないかと思いました。
    何十年も前の話ですけどね(笑)。

  • #5

    幸福ホルモンって (木曜日, 10 5月 2018)

    オキシトシンの事ですか?
    そう言うシチュエーションでは無い気がしますが。

    他にも何かあるのですかね。

  • #6

    michiko (金曜日, 11 5月 2018 19:56)

    科学的なことは全くわかんないです。
    非科学的なこと(オカルト的なこと)なら多少、知ってるんですが...(笑)。
    でも、この体験と結びつけて考えたことは、今までなかったんですよ。

  • #7

    町田 (土曜日, 12 5月 2018 01:55)

    オキシトシンとは別物です。
    快楽ホルモンと云うべきだったか。
    実は、私も小耳に挟んだだけのいい加減な知識なんですが。
    大怪我をした時に、瞬時に出る鎮痛剤のような物質があるとか、
    ヘロインの数十倍の効果のある脳内麻薬のような物質があるとか、
    実在するのかも不確かな、非科学的な興味本位の話でした。スイマセン。

    クンダリニーの方は、正にオカルト的、ヒンズー教や密教の話ですが、これも詳しい訳ではありません。
    偶発的に、それを体験してしまう例があるのだと、何かで読んだだけです。

    こういう話は、私も好きなので、いつかゆっくりお話ししましょう。

  • #8

    michiko (土曜日, 12 5月 2018 06:36)

    是非!わくわく、、。

  • #9

    ひょっとして (土曜日, 12 5月 2018)

    エンドルフィン? ですか?

  • #10

    ぅぉ (土曜日, 12 5月 2018 19:18)

    ↑ あーまた名前の所に本文をいれてしもうたww