中学に入ったばかりの頃、学校の帰り道にそれはそれは美味しいケーキ屋さんがあって、毎月のお小遣いのほとんどをケーキに使っていた。( 残りはおそらく文庫本か漫画。)
ババロアやプリンやシュークリーム、生クリームと果物がいっぱい乗ったショートケーキやこってり濃厚なチョコレートケーキ、子供にはある意味贅沢すぎるサバラン(笑)、、。お店の中は、甘く華やかな香りでいっぱいだ。
様々なリキュールとバニラエッセンス、バターが湯煎でゆっくり温まり、弱火にかけられたカスタードクリームはとろとろなめらかだ、オーブンの中ではパイやクッキー・スポンジケーキがこんがり焼けて、艶よく煮上がった林檎にシナモンパウダーがふられる、、お店の奥で行われる素晴らしい作業から生まれる香りは混然となって、まるで一度も行った事のないヨーロッパのお店にいるようだ。今でもあの夢のような空気をはっきり思い出せる。
子供ながらにちょっと気取って注文すると、お店の奥さんが優しげな仕草でケーキを丁寧に箱に入れてくれる。奥さんは確か髪には白い三角巾、パステルカラーのエプロンをつけて、いつも穏やかで軽やかでニコニコしていた。
あまり度々お店に行くので、そのうちすっかり奥さんと顔馴染みになった。
「クッキー、ちょっとだけど余ったから良かったらどうぞ。」
「今日はプリン、少し失敗しちゃったから2個持っていってね。」
お小遣いで買うケーキの他におまけまでもらうので、当時の私は見事にプクプクポッチャポチャだった(笑)。
そんなことをニヤニヤ思い出していたら、ふとある事に気付いた。
あの時、私は誰と一緒にケーキを食べたんだ?
私はひとりっ子だ。
父は勤め人で、母はあまり家にいる人ではなかった。
小学校の時の友達とはクラスが違ってしまって、中学の放課後、一緒に遊ぶような友達はいなかった。家に帰っても猫たちはホントたくさんいたけれど、私に気を掛けてやろうなんて奇特な猫はいない訳で、、(笑)。
普通に考えてとても孤独な子供だったと思うのだが、何故だろう、あの時、寂しかったという記憶がまるでない。
学校から帰ってたった一人で食べたケーキがとても美味しかった、お店のヨーロッパのような空気と奥さんの柔らかな笑顔が素敵だった....、それが全てだ。
“寂しい”という感覚を知ったのは、もっとずっとずっと大人になってからで、それも対象者のはっきりした寂しさーいわゆる『失恋』(o_o;)ってやつだから、傷が癒えればまた一人が平気になる。
”一人”が平常運転である(笑)。
誰かと一緒にいる、あるいはみんなとわいわい遊ぶ時は本当に楽しい。おしゃべりが大好きだから、こういう時は時間が経つのを忘れてしまう。幸せだなぁ....なんて思う。
それでも、一人でいる方がずっと自分らしい事であるという気がしている。
そこに”寂しい”という感覚は無い。
寂しさの感性は、ひとりっ子と関係があるのだろうか?
ひとりっ子は小さい頃から一人で遊ぶ事に慣れている。
公園なんかで子供たちがグループで遊んでいるのを見ていると、その中にいるひとりっ子は何となく分かる。周りにどれだけたくさん友達がいても、彼(彼女)の心は慣れ親しんだ自分だけの世界にいるのだ。
一人でも大勢といても、心は孤独である。そしてその事と、寂しさを感じるか感じないかは全く別次元の話だ。
お、この問題について書くとめちゃ長くなりそう、、。
そういえば、私の周囲には”ひとりっ子ミュージシャン”がいっぱいいる。
みんな一癖ある強者.....^ ^;;、( あれ?私もか..... ・_・ )
みんなに地道な調査取材して、いつかちゃんとレポートまとめてみようと思います(キリッ)!
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caroline (水曜日, 06 5月 2015 10:35)
ミッチャンに激しく同意!
あたしは妹がいるけれど、子供の頃からひとりの世界がとても大事だと思ってた。
どんなに楽しい仲間と居ても、1日の終わりは一人きりで過ごさないと、リセットできない気がしてしまう。
あ、猫は一緒に居ても気にならないけど(^_^;)
michiko (水曜日, 06 5月 2015 10:49)
お、キャロちゃんもひとりっ子気質(笑)でしたか!
そうすると、この”孤独が気にならない性格”は、ひとりっ子だからじゃなくて個人の問題なのかもね。ふむふむ....。
そういえば、福田氏はひとりっ子だけど、さみしがりやさんオーラ満載(笑)な感じだもんね!
caroline (木曜日, 14 5月 2015 22:05)
うん、あたしはかなり筋金入り。
孤独が気にならないばかりか、孤独ラブ♥︎
人生において最も失いたくないのは独りの時間(^_^;)
6歳までひとりっこだったのもあるけど、生まれ持った性格だと思うよ。
michiko (金曜日, 15 5月 2015 08:17)
キャロちゃん、貴重な情報をありがとう!
うん、何人かのひとりっ子に聞いてみたけど、やはり個人の資質と環境みたいだね....。
『孤独の研究』ー なんかいいね〜 ^ ^