母が父の所に旅立った。

二人きりになった時、静かに横たわる母の顔に化粧をした。

「やっぱ私よりパパのそばが良かったんだねぇ...。」と恨み言を言ったら、涙がぽたぽた落ちた。

 

去年の父の時も、そして母の時も、私には『死ぬ』という事が理解できない。

ふたりは、どこか私がまだ行く事のできない場所にひと足先に行ったのだ、いつかまた三人一緒なのだ、だからその時を楽しみにして精一杯生きよう、、自然にそう思う。

すると、人が死ぬという事はいったいどういうプロセスなんだろう。

そもそも人間って何?

現代の科学が説明できない不思議な事はたくさんあって、少なくとも『死ぬ』ことの意味は、いずれ自分で経験すれば知ることになる。

それもまた楽しみにしていればいいのだ。

 

なんだかまだ一人になった実感がない。

時々、父や母に話しかけると、寂しさより安心感がわいてくる。

本当は今も三人一緒なのかもしれない、ちょっと今までとは違うだけで、、。

でも、一年ぶりに会った父と母は元気な頃のふたりに戻って、私の事なんかしばらくは思い出さないかもしれない(笑)。