我が家にはテレビがない。
そう言うと、一年くらい前はたいてい「えっ?」という反応があった。そして「どうして?」と聞かれたものだが、最近ではあまり「どうして?」と聞かれない。
先日、ライブが終わって帰り道、深夜でがらがらの車内にベースのYくんと並んで座っていた。
ニュースや広告やプチ講座やらを文字と鮮明な画像で絶えず流している車内テレビ放送を、気付いたら二人とも無言で食い入る様に見つめていて、それが我ながら笑えて、「Yくんちもテレビないの?」と聞いたら、「はい~」って照れ笑いしながら答えていたが、その答えを聞いて私も「どうして?」とは聞かなかった。
ニュースはインターネットで見ているし、面白そうなドラマがあったらDVDでまとめて見ちゃうし、バラエティー番組はタイトルからしてつまらなそうでスポーツは最近お気に入りのチームがない。
たまに実家で見るNHK国会中継も、小泉進次郎くんの質問真っ最中に( 無礼にも!)いきなり終了してしまうし(笑)....とにかくテレビに期待するものがほとんどない。
それでも時々、BBCとか海外制作のドキュメンタリー番組が無性に見たくなる。
日本人の想像をはるかに超える世界の苛酷な現実や、知らされる事のなかった歴史の中の事実がたくさん報道されている。
数年前、まだうちにテレビがあった頃に見た、そうした海外のドキュメンタリー番組の衝撃的な映像は今でもはっきりと覚えている。
第二次世界大戦中の反ナチスの活動を証言するスパイたち、1994年のルアンダで国連がやった事( やらなかった事 )、イスラム世界で今も行われる名誉殺人を逃れて生きる女性たち、犯罪被害者の遺族と犯人である受刑者が一緒にバス旅行するアメリカ民間の試みのルポ.....。
世界中で、過去にそして現在もたくさん起きている、特に戦争や地域・民族紛争といった複雑で難解な問題を、冷静に事実のみを取材して視聴者に伝えようとするこういうドキュメンタリー番組が、日本の国営・民間放送でなぜほとんど作られないのか、すごく不思議に思う。
調査報道は日本では難しいという事? どうして難しいの?
YouTubeにアップされているドイツの国営放送・ZDF制作のドキュメンタリー番組「フクシマのウソ( 原題:Die Fukushima Luge )」が、最近ネット上で話題になっている。
( http://www.youtube.com/watch?v=4Z38NR0mn_M )
この番組は、日本社会の中の巨大な排他的利益集団「原子力ムラ」の実態を暴いている。
なぜ、日本の放送局じゃないの?。
日本の国内の真実さえ報道できないマスメディアって一体なんなのか....。
調査報道を遠ざける日本の報道体制、その中で生きるジャーナリストたちは何を信じて仕事をしているのだろう。
政府発表、官庁発表を全てとする事なかれ主義と、捏造・煽動を懲りずに繰り返す悪質な学者や評論家たち。
何を信じたら良いのか分からなくなっている私たちと、何を信じて仕事をしていったら良いのか分からないジャーナリストたち、、もしそんな構図なら、本当にテレビは要らない。
ジャーナリズムも政治も経済も、正義を追求する気持ちのない人が支配するようになったら終わりだと思う。
コメントをお書きください