超能力

私が東京で音楽の仕事を始めた頃、だからずいぶんと昔のことなのだが、お盆で帰省した私に母が面白いことを言った。

「あのねぇ、あたしには小さい頃から何だか不思議な力があるんだよ。誰だったかの葬式の帰り道にうちのばあちゃんがどっかに数珠を落としてね、あたしが走ってすぐに見つけてきたんだ。どういう訳かどこに落ちてるって分かったんだよ。」

ふ~ん、それって遠隔透視ってやつかな、でもまさかうちのママが超能力者なんてねぇ....。

 

母には、それは父も認めていることだが、何だかよく分からないけど、とてつもなく運が良い人、というイメージがある。

別に、一億円の宝くじを当てたり株で大儲けするわけでもないし、母の人生で格別ラッキーだったことなんて、私が知る限りほとんど思い浮かばないのだが、でも何か、他の人にはない特別な感じは昔から確かにあった。単に”変人”てことではなく....(笑)。

 

でもだからといって、超能力なんてものがこの世に存在するとはとうてい思えない。

もし本当にあるのなら、世界中の科学者たちがとうに研究しているはずだ。

 

と思っていたら、先日、心底びっくりする映画を見た。

『山羊と男と男と壁と』( 2009年/米・英 )、主演はジョージ・クルーニー、ユアン・マクレガー、他にジェフ・ブリッジス、ケビン・スペイシー。     

何とも凄い豪華キャストのわりにあまり話題にならなかったし、驚くようなスペクタクルも涙あふれる感動もほとんど無し、緩いコメディともシニカルな反戦ものともつかない摩訶不思議な映画だ。( 私はこういうの結構好きだなぁ...)

 

冷戦時代に米軍に実在した超能力部隊の関係者に取材したノンフィクションが原作、ということなのだが、米ソ冷戦当時、ソ連もアメリカも軍事目的の超能力研究・開発を秘密裡に行っていたらしい。

まぁ確かに、スパイが超能力者だったら情報収集もかなり楽だし、相手国の潜水艦や秘密基地の位置が透視で分かるなら莫大な経費削減になる。

でも、何だか嘘くさい話だよなー映画のコメントを見てもほとんどの人が半信半疑だ。

 

More of this is true than you would believe.( 信じられないほど実話に近い物語 )

映画の冒頭、この一文が出る。観客に念を押す、それほど信じられない実話だということだ。

 

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何が心底びっくりしたといって、この嘘のような話を、私は20年以上も前に友人から聞いていた。

幽霊話かなんかで盛り上がっていた時にふとその彼が、

「僕の知り合いの人( だったかその友人 )が凄い霊感があってさぁ、とにかく何かいろんなものが見えるんだって。池袋の古いビルでエレベーターの扉が開いた瞬間、戦時中のものすごい火事の映像が見えたりさ....。その人、こないだアメリカの超能力とかやってる研究施設に連れていかれたらしいんだよね。ソ連も同じような事やってるんだって。」      

 

その話を聞いた時は、へー、都市伝説だなと思って本気にしなかった。

でもこの彼が連れていかれた研究施設が、映画の中の超能力部隊関連だった可能性はある。

20数年前の友人の話は、信じられない実話だったということかもしれない。

もう一つ。

イラク戦争で、国防長官ラムズフェルドが終始強硬にイラクにあると主張した大量破壊兵器。

あそこまで彼が強く確信する一因に、進化・精鋭化して存続する米軍・秘密超能力部隊のレポート結果があった、な~んて、こっちは私が考えたただのSF(笑)。でもそんな荒唐無稽な話をあれこれ空想してみるのもなかなか楽しい。

 

さて、お盆で帰省した私と母の会話。

小さい頃から不思議な力が云々....と話した母が、「あたし、これから起こる事とか少し未来の事とか、なんとなく分かる時があるんだよね、たま~にだけど。」それからまじっと私の顔を見て言った。「おまえ、ずっと独りだわ。」

 

え~~っ!! そういう事、ふつう母親は娘に言わないんじゃないの~?!

まぁ、結婚願望が100%なかった当時の私は予知能力の話の方が面白くて、「本当~?ふ~ん....」と疑わしげに母の顔を眺めた記憶がある。

今になってみると母の予言は完全に当たった訳で(笑)、もしかすると、信じられないほど身近に”超能力者”がいたのかもしれない。

 

何がどこまで本当なんだかさっぱり分からないが、超能力は遺伝しないという事と、もし超能力があっても人生であんまり役に立たないという事だけはどうも事実らしい。

 

( 今回、かなり長文になっちゃいました...。ごめんなさい!)