沼袋たんどーる

4年くらい前から、西武新宿線・沼袋の音楽教室でピアノを教えている。

まったく初めてピアノを弾く人、Jazzをやってみたい人、自分の曲をつくっている人....いろいろな方たちが、この小さな教室に通ってきてくれる。

 

駅前にある、"新・印度料理たんどーる" というお店に気付いたのは、教え始めて2年ほどだったか、近くを通るとよく若い人たちが三々五々出てくるので、きっと美味しいんだろうな、名前からするとカレー屋さんだよな、けど"新・”ってのはいったい何?、あんまり奇抜な創作料理ってのもなぁ.....なんてぼんやり考えながら横目にいつも通り過ぎていた。

最近になって、どういうのか妙に”たんどーる”が気になってきた。

一度行ってみるかな....。

 

2年越し、ついにその日がやってきた(笑)。 

お店のHPと口コミの記事を調べ、大好きな友人に都合を聞いて、決行日は11日の日曜日。

 

夕方、駅前で待ち合わせて、お店に入った。

予想通りのあったかい雰囲気とこだわりの店主、予想外・想定外の美人の若い女性が注文をとりに来たので、人気メニュー、梅カレーと根菜カレー( キーマカレーと迷ったんだけど.... )を頼んだ。

なるほど、これが"新・”なんだな、梅・大根やごぼう、生姜なんかが、本当に普通にカレーとバランスよく混ざっていて、”日本の印度料理”になっていた。

特に、梅のほのかな酸味がカレーとこんなに合うなんて.....。

ナン、一品料理の鳥の炭火焼も絶品、”たんどーる”体験は大満足だった。

 

伝統や既存の価値観と絶妙にバランスをとりつつ、新しい自分の発想を取り入れて行く、そしてたくさんの人に違和感なく受け入れられ、良いものとして評価される、それはかなり難しい事なんじゃないかと思う。

結局は、sense(感性)の問題であって、料理でも音楽でも同じかもしれない。

 

jazzをやっていて、普通にjazzとして心地よく聞こえる演奏というのがどれだけ難しいかを痛感している。

歴史の浅いjazzとはいえ、優れた多くの音楽家たちが作り上げてきた、幅広く底深く偉大な流れに対する深い敬意や価値観みたいなものは、世界中すべてのjazzを愛する人たちが共有するものだ。

リズムのノリが少し違うだけで、ある人は違和感を感じるかもしれない。

大きな枠組みの中にある個性。

 

速弾きや超難曲ももちろん凄いとは思うけれど、普通のスタンダードを、自分の言葉で粋に聴かせるなんて事がいつかできたら、本当に最高だと思う。

それは、流行のstyleとか流派とかではなく、jazzを愛する人も初めて聴く人も心地よく感じるような、伝統と新しさのバランスを絶妙にとるsense(感性)の問題なのだと思う。